何者、の感想を書きたかった
「何者」を見てきました。
劇場予告を何回も目にして、米津玄師と中田ヤスタカの主題歌が良さげがだったので気になってました。どうやら就活とかの話っぽいぞ、意識高い系とか自意識とか承認欲求とかの話になるんじゃないかって構えてました。
結果的に予想は半分あたって半分外れた。
「何者」は就活モノの皮を被ったSNS(特にTwitter)ぶった斬りモノだった。
良い悪いは別にして、いまこの2016年に見るべき映画だと思ったし、見てよかった。
2回目は見ないけど、あの二階堂ふみのシーンはもう一度見たい。
以下、個人的な話を交えつつ感想。
私はちょうど登場人物たちと同じ年齢だ。11年入学だったと思うので多分そう。
そして同じように就活を経験しているので、この映画がターゲットにしている層の人間だと思う。つまり、ツイッターがインフラのように存在して、他人の考えや行動をツイートで知ってコミニュケーションしたり、面倒くさいことになったりするのを身を持って理解できる。プラス、いわゆる「就活」をしたことがあるって人だ。
しかしながら私は一般的な就活をどっぷりやったりせず、あんな風に就活仲間たちと頑張りあったりしていないので、身体的に実感できるのは5割程度だった。まあそんな人もいるよね、実際に対面した機会はあまりないけど、ていうぐらいのリアリティを持って鑑賞した。
なのでもっとちゃんと就活した人は見ていて辛い映画だと思う。就活特有の嫌な感じやお祈りメールでの気分の落ち方を思い出して、ウッと詰まるはず。内定が出なくて自分が全否定されるような感覚は分かりたくないけど分かっちゃう。
けれど主人公がTwitterの別アカウントで陰口のような分析をオープンに書いてしまうのは無いなって気がしなくもない。ウカツすぎでしょう。
とは言いつつも、同居人の金髪のバンドマンがちゃちゃっと始めた就活で先を越されて、なんか良さ気な会社に内定をもらって気分が落ちるの分かります。自分が出来ると思われてるのに出来無いって辛い。
就活と演劇が重なるように描かれていて、しかも出てくる演劇がどれも滑稽に見える。これは就活も客観的に見れば、役を演じる可笑しなダウトのようなものだということだろうか。1分間を与えられて練習通りに演じていた主人公がラストでは演技から解き放たれる。そして面接後のビルから外に出る一連のシーンに少しばかりの希望を感じた。救われたような、そんな気持ちになった。最後の最後で優しが垣間見れて、好きな終わりでした。
就職云々を抜きにすると、Twitterをやってる人特に、二階堂ふみが発するあるセリフには心を砕かれると思う。本当にアレは2016年最新の罵倒パンチラインだ。あそこのセリフだけテキストで読み返したいぐらい。メタ的視点に立った人間から殺される、気をつけろ!って警告文が似合いそうだ。
ここまで書いて、当初より「何者」は見て何かを感じる人は意外と多そうだと気づいた。僕はやっぱり就活を経験して間もないのでその面を注視してしまうけど、射程の広い映画かもしれない。けど、同時に何の話かわからんって人もいても全然おかしくないなとも思う。
「何者」を100年後に見た人は何を思うのか非常に気になる。Twitterは多分無い。
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